先パイとあたし
「でもさ」
「じゃぁ!あたし用事あるから帰るね!ばいばい!」
あたしは、柚葉が話す前に強引にその場から逃げた。
このまま話していたら、柚葉に心を見透かされてしまいそうで。
隠してる本当の弱い心を見られてしまいそうで。
怖くて、怖くて。
あたしは逃げた。
だけどきっと、柚葉は気づいているのだろう。
あたしが嫌がらせされてること。
あたしが無理に笑っていること。
きっと全部、気づいているだろう。
だけど、あたしはすべてを話すことが出来なかった。
島田先輩が怖くて。
何もかもが消えてしまいそうで。
ただ、怖かった。
それからも、嫌がらせは毎日続いた。