先パイとあたし
「姫佳。正直に話すから、よく聞いてほしい。」
先パイは、いつになく真剣な顔をしていた。
あたしはこのとき悟った。
良い話ではないということを。
「俺さ、昔は遊び人だったんだ。
すぐ女を変えて。寄って来る奴とは平気で遊んで。
ただ、めんどくさかっただけなんだ。
1人の女に縛られるってことが。
...姫佳のことも、初めはそうだった。」
えっ...?
今、先パイは何を言ってるの...?
空耳、だよね...?
「学校で再会したのは、本当に偶然だった。
お前が”男が苦手だ”ってわかったとき”絶対落とす”って決めた。
男を苦手とする女でも、確実に落とせる自信があったから。」
あたしの頭は真っ白だった。
先パイの言っている言葉の意味を、理解することが出来なかった。
いや。本当は理解することを、拒んでいただけなのかもしれない。