先パイとあたし
「ストラップやネックレスは?
あれも落とすためですか?」
「あれは、落とすためなんかじゃない。
素直に、姫佳に喜んでほしいって思ったからだ。
嘘じゃない。姫佳、これだけは信じてほしい。」
先パイは、まっすぐにあたしの目を見て言った。
「お前を好きな気持ちは嘘じゃない。
偽りのない真実だから。」
今のあたしには、先パイのその言葉は届かなかった。
ただ、すごくショックで...
だからかな...
あたしは、先パイを信じることが出来なかった。
「そんなの...そんなの信じられません。」
あたしは泣きながら答えた。
「どうして、そんなこと話したんですか?
どうして...どうしてそんなこと言うんですか...?」
あたしは走り出していた。
どこかへ行くわけでもなく、ただ無我夢中で走った。