発情クライシス
「んー」
「…わっ」
じと…、と猫を見下ろしていたら、いきなり起き上がってきた。
「どしたの」
いきなりの行動にちょっとびっくりした。いつもはゆったりとしか動かないくせに。
「んー…………、寝よ」
「はい?…って、ちょっ!」
座った猫はまたすぐに後ろに倒れ込んだ。…私も巻き添えにして。
腕を引かれて、先に倒れた猫の上に倒れ込みそうになったので間一髪、猫の横にぼすんと沈んだ。驚異の身体能力!
「……」
「……こらリツ」
「……なーにー」
「危ないでしょーが」
「ごめんにゃー」
「…ふざけてんね?」
「…ばれた」
くだらないやりとりに潜む違和感。