発情クライシス


「ミイ…」

「んっ」


猫の両手が頬を包んだ。

何かを満たすように深く深く唇が合わさる。


猫が何に苦しめられているのかなんて知らない。

ただ、そんな顔、


――…猫らしくない



眠そうで、眠そうで、優しそうな顔が、猫だったでしょう?


「泣くんじゃないわよ」

「…泣いてないよ」


泣きそうだから言ってんの。


そう言って、また猫の目縁に口付けた。


「ミイ」

「ん」

「おもい」

「……殴るよ?」


誰のせいでこんなことになってると思ってるんだか。


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