発情クライシス
な の に !
……噂をすればナントヤラ。
「先輩……」
午後の眠気と戦っている内に、綺麗に晴れた青空。
何だかいい気分で駅に向かって歩いていたわたしの前から歩いてくる先輩と、女の子。
遠目ではよく見えないけど、長い黒髪がサラサラと風に遊ばれている。
楽しそうな笑い声をあげながら歩くふたりはまるで雑誌から抜け出てきたような華やかさ。
きっとああいうのを“お似合い”と呼ぶんだろう。
だってほら、先輩があんなにも、楽しそう。
爽やかだったわたしの心に少しの暗雲。
……見つからない内に帰ろう。
向こうからやってくるふたりを視界から外してさり気なく遠ざかると……、
「ーーヒナちゃん?」
もう、どこまでわたしはツイていないんだ!