発情クライシス


「ねぇ、ヒナちゃん。もう一度聞くよ。…どうして逃げたの?」


優しい声がわたしの耳を刺激して。


「く…苦しかった、から…」


そっか…、と呟くそれさえも優しくて。


「何で苦しかったの?」


少しの仕草に捕らえられる。


「先輩と…彼女さんが…とてもお似合いで……」


ねぇ、どうして?


「……苦しかったの?」


「は、い」



どうして、嬉しそうに微笑むの。



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