Boom Boom
「はぁ、明日は定時にあがりたい・・・」

ささやかな胸の内をポロッと呟き、あたしはまたパソコンに向かう。

──カタカタカタカタカタッ

今日の残業はあたし1人か。

暗いな・・・。

でも電気つけっぱなしで寝ちゃ怒られるし、つけるのもなんだかな・・・


そう頭で考えてるのがいけなかったのか。

ただ足音が聞こえなかったからいけなかったのか。

名前を呼ばれた時に振り向いたのがいけなかったのか。

あたしはこの時を何度振り返っても分からない。


ただの仕事人間でよかったんだ。

仕事にあーだこーだ愚痴をつけても、やっぱりやりがいを感じていて。

つまり今の仕事が好きで。

正社員になって3年目だから気合入れなくちゃとも考えていて。

恋なんてどうでもいいって思ってて。

だから気づかなかったのか。

あの時感じた胸の痛みは

あの時感じた胸の鼓動は

あの時感じた体温の上昇は

紛れもない

─恋─

だった事に。
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