キミのとなり。
「……あれ?」



突然、何かに気付いて口を開いたのは晃だった。



「……ジンさん?」



ジン……さん?!



「やっぱそうだ!ジンさん!晃です、お久しぶりです!」



何故か晃は、暴言男に頭を下げ始めた。



すると奴も思い出したかのようにこう言った。



「晃?お前……晃じゃん!」



私と晶子は顔を見合わせ、ただただ呆然としていた。



どうやら二人は知り合いのようだ。



晃の話しによると、その隣りの暴言男の名前は『甲谷仁』というらしく、晃の中学時代の先輩らしい。年は23歳、当時からワルで有名だったらしい……。



すっかり意気投合した二人は、そのまま飲みに出掛けてしまった。




「知り合いだったとはね、晶子は知らないの?」



「名前は聞いたことあるよ!会ったのは初めてだけど。」



「ふぅん。やっぱ元ヤンだったんだね。そんな感じだよね。」



「でも晃が言うにはあの仁って人、すごくいい先輩だったんだって!晃も何度か助けてもらったって。」



「うっそ~、なんか誰彼構わず殴ってそうなイメージなんですけど……。」



とにかく、私の中の『仁』の第一印象は“最悪”そのものだったんだ。
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