キミのとなり。
「俺、基本的に放任主義だから……あんたもそうして。」


…そうしてって言われてもなぁ、わかんないよ。


「先に言っとくけど俺、結構女友達も多い方だし付き合いで飲みにも行くし、ファンの子にもしょっちゅう待ち歩いてれば、声かけられたりするから。」


うっ…そこまでおおっぴらにされても困るような……


「そういうので一々嫉妬されたり文句言われたりすんの、面倒臭い人だから。」


答えに困って黙り込む。


なんて言えばいいのよ。


「……でも、」


「……ん?」


「でも浮気は絶対しない。」


“キュン…”


私の胸がそんな音を立てた。


このシチュエーションでそのセリフはかっこよすぎでしょ。


「……なんか言えよ。」


「…うっうん。」


幸せ過ぎて思わず笑いそうになったのを、顔が見えないのをいい事に必死でごまかした。


すると……


“ガサガサ…”


えっ?


仁が私の寝ているベッドの前に座り込み、優しく頭に触った。


目が慣れてきたおかげで、少しお互いの顔を確認できた。


仁は薄暗い中、私の目をみつめてこう言った。


「なんだ……泣いてるのかと思った。」


はっはずかしい…!


思わず布団を鼻まで被った。


私の頭を軽く撫でて仁はソファーに戻ろうとした。


“ガシッ”


「……。」


「……。」


あっ…あれ!?


私は無意識に行こうとした仁の腕を掴んでいた。


なっ何やってんの私!!


仁はびっくりした様子で立ち止まった。


「…何?」


“バッ”


掴んだ腕を離した。


「ごっ…ごめん!なんでもない。」


キャーどうしよ~!


「おっおやすみっ!」


恥ずかしすぎて、毛布に包まって仁に背を向けた。


もー最悪!


なんで掴んだのよ~私のバカバカ!!


すると、次の瞬間背中に生温かい感触がした。


“ギュッ…”


仁はベッドに眠る私に寄り添い、後ろからそっと抱きしめてきた。






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