キミのとなり。
会えない時間
んっん~~~~~ん……


“パチパチ……”


私は、カーテンから差し込む光りに目を覚ました。


横を見るとまだ熟睡中の仁のかわいい寝顔があった。


ふふっ…無防備だなぁ。


“ツンツン”


頬を突いても、息を吹き掛けても起きない。


本当可愛い寝顔。


私だけが知っている素顔。


そういうのが堪らなく幸せ。


ずっと見つめているとキスしたくなる。


昨日あんなにしたのに。


私は眠ったままの仁の頬っぺたにチュッと軽くキスをした。


「……。」


全く起きる様子がない。


でも考えてみたら、こうして同じ部屋で同じベッドで一緒に眠ってキスまでしたのに、それ以上何もしようとしなかった仁。



それは弘人に裏切られた時、“実はまだ体を許していない”という話を仁に伝えたからだろうか。



本当はどう思ってるんだろう。


だけどちょっと仁とならいいかな……なんて思い始めている。


んっ!


仁がうっすら目を開けた。


あっ起きた!


それだけで、なぜかテンションが上がる。


「ふぁ~っ…」


大きなあくびと伸びをひとつして、まだ眠たそうに目を擦っている。


そしてちらっと横にいる私を見眩しそうに見た。


「んっ…はよ」


「おっおはよう!」


仁はボサボサの頭を面倒臭そうに掻きながら立ち上がった。


「腹減らね?」


「あっ私なんか作るよ。」


「えっ……」


「えっなにその反応!」


「まぁいいや。腹減ってる時は何食ってもうまいか。」


どぉいう意味だ!!!


私が着替えて台所に立つと仁の携帯が鳴り響いた。



“♪チャララン…”


「はい。あっはい……」


なんだかとても丁寧に受け答えしている仁。


なんだろう、正月早々。


「わかりました。」


そう言って、仁は電話を切った。


「悪い、行くわ。」


「えっどこに??」


「取材だって……雑誌の」


取材……?

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