キミのとなり。
翌朝――


“チャラララ・・・”


メールの音で目が覚めた。


《受信 “仁”》


跳び起きてメールを確認した。


【昨日は帰れなくてごめん、3時ぐらいに帰る、初詣行こう。】


涙が出る程うれしかった。


ちゃんと気にかけてくれていた事が……。


午後3時を少しまわった頃、隣りのドアが閉まる音が聞こえた。


帰って来たんだ!


すると、しばらくしてメールが届いた。


【すぐ出れるか?】



実は昼過ぎから既に出掛ける準備をしていた私は、メールを受信するなりすかさず返信した。


【大丈夫だよ!】


バーゲンで買った新品のブーツを履いて、もちろんプレゼントも忘れず持って玄関を出た。


“ガチャン”


私が出たのと同じタイミングで隣のドアが開き、仁が出て来た。


「おう。」


「おかえりっ!」


なんだか随分会っていなかったかのような気分だった。


こんなに好きになっていたなんて。


「行くか!」



そう言って手を差し延べてくれた。


照れながら仁に歩み寄りその手を握り締める。


本当は疲れてるはずなのに、ちっともそんな素振りを見せない。


ちゃんと寝たのかな……。


「どうだった?取材。」


「まぁ…適当にやってきた。」


てっ適当にって……。


「随分時間かかったね?」


「なんか取材の後、色々挨拶廻り行ったりその後メンバーで新年会やったりバタバタだった。」


「そうなんだ。」


それで疲れてないはずないのに……。



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