キミのとなり。
すると若菜ちゃんがフォークを置いて真顔で私を見つめて話しだした。


「先輩、それって……」


「う、うん。」


「エッチしてないからじゃないですか?」


“ガクッ!”


「はぁあ!?」


突然真剣な顔するからもっとマシなアドバイスくれるのかと思って期待したのに。


「そういう事じゃなくてさぁ……。」


「そういう事ですよ!!」


妙に興奮気味に答える若菜ちゃん。


「えっ……」


「だって今までずっとそれで裏切られたり理解してもらえなかったりで別れてきたんでしょ?」


“ズキッ…”


古傷が痛みだした。


「その根底にあるのは結局カラダの関係でしょ?」


「……。」


「正直男と女ってそこが一番大事じゃないですか!関係があるのとないのとでは絆の深さも違うし。」


絆……。


「私もケンチャンの事好きだから自然とそうなりたくてなったし、そうなった後はもっと好きになりましたよ?」


真剣に話す若菜ちゃんを見ているとなんだか羨ましくなった。


本物の恋人みたいで……。


私はまだ仁に全てをさらけ出していない。


世間から見ると薄っぺらい関係なのかな。


「先輩、エッチすると“恋”が“愛”に変わりますよ。」


そう言って若菜ちゃんはまたいつものようにニッコリ笑った。


「先輩はまだジンに恋してるんですよ!だけど関係を持つ事できっと愛に変わります。」


“恋”が…“


“愛”に…かぁ。


「愛は信頼がないと成り立たないですからね!信頼する為にはお互いをよく知らないと!」


珍しく的確なアドバイス。


ちょっと試してみようかな……。


なんて思ったりして。

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