キミのとなり。
昼休みを告げるチャイムがなった――


「お先に休憩いただきまぁす!」


財布を手に食堂へ向かう。


エレベーターに乗った瞬間手紙の事を思い出した。


あっ……忘れてた。


ボタンを押す指が止まる。


どうしよう……


今更会って何話す!?


もしかして、水原紗枝の結婚の事!?


落ち込んでるとかっ……。


でっ、でも何で私に!?


あぁぁぁぁぁ!


考えてても決まらない!


勢いに任せて屋上へのボタンを押した。


変な事してきたらぶん殴ってやる!


屋上のドアを開けると、いきなりフェンスにへばり付いている弘人の姿が目に飛び込んできた。


「わっ!ちょっちょっと!!何やってんの!?早まらないで~!!」


走り寄って弘人のスーツを引っ張る。


「……へ??」


「……へ!?」


あっあれ!?


もしかして、早まったのは


私か……?


「ぶっはははっ!飛び降りると思ったわけ!?」


「だってあの状況は誰がどう見ても……。」


私の真横でお腹を抱えてケタケタ笑う弘人。


弘人はただ考え事をしていただけだったらしい。


「紛らわしいよ!」


「ふふっごめんな!」


「ったく。」


なんだかこんな風に弘人と笑ったのは随分久しぶりのような気がする。


いつの間にか許せていたのかな……。


しばらくして弘人が話し出した。


「来てくれると思わなかったよ。」


来るつもりなかったんだけど……。


「あれからもう一年近く経つんだな。」


「……そうだね。」


「どう?最近。」


「どうっ……て?」


「今誰かと付き合ってるの?」


「……。」


なんでそんな事あんたに話さなきゃいけないのよ。


「なんか千秋変わったよね!」


「え…?」


「強くなった。」


確かにそれは自分でも感じる。


仁に散々もまれたからかな。


「……本気で」


急に弘人がこっちを向いた。


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