キミのとなり。
ステージで唄う仁の姿が余りにも輝いていて、思わず見とれている間にメドレーは終わった。


「いいライブでしたね。」


若菜ちゃんが、そう言って私の方を見た。


「先輩!?どうしたんですか~!」


私の頬を大粒の涙が伝い落ちる。


私は偽善者かもしれない。


「……若菜ちゃん。」


「なっ…なんで泣くんですかー?」


「私もう…疲れたよぉ。」


周りの目も気にせず私は内から出てくる言葉を口にした。


「……だってまだ全然好きだもん、応援するって言ったけど……やっぱこんな風に遠くからただ見てるだけなんて辛いよ。」


「先輩……。」


格好悪いな。


みんな見てるよ……。


だけど止められなかったんだ。


「迎えにきてくれるってどっかで信じてる……。でもどんどん遠くに行っちゃうあいつを見てると……」


「……。」


若菜ちゃんは黙り込んでしまった。


「私の事なんてもう忘れちゃったんじゃないかなって……あれはただの気休めの言葉だったんじゃないかって」


「……。」


「応援なんてできないよ。」


私はバカだ……。


なんで今、こんなめでたい席で愚痴ってるんだろう。


頭では、わかってるのに止まらない涙。


すると若菜ちゃんが私の顔を覗き込んでこう言った。


「じゃー、“本人”に聞いてみましょうよ!」


 ……


 ……


え……?


『ちょっと、ジーン!!』


えっ……!?


突然、若菜ちゃんがステージに向かって叫び出した。


ステージから去ろうとしていたメンバーがその声に足を止めて振り返る。


まっまずいよぉ……


会場の客達も一斉に振り返りこっちを見ている。


だけど、そんな事構いもせず、若菜ちゃんは続けた。


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