キミのとなり。
翌朝、いつもより1時間早く起きて出勤の準備をした。



今日は絶対に会いたくない!



恐る恐るドアを開け隣を覗き込む。



どうやら仁はまだ出掛ける様子はない。



ふぅ、よかったぁ……



そっか!こうやって時間をずらせば会わずに済むんだ。



けど、あいつの為にわざわざ毎朝早起きするのもシャクに障る。



歩きながら時計を見ると、電車の時間までまだだいぶ時間があったので、コンビニで時間を潰すことにした。



雑誌を手に取り読んでいると、どこからか怒鳴り声が聞こえた。



「おい、ねぇちゃん!」



レジの所で何やらもめている。



チラッとレジに目をやるとクレームをつけていたのは“あいつ”だった!



「普通上に入んだろ!」



「すいません……。」



どうやら菓子パンを、袋の1番下に入れられたのが気にくわない様子。



意外と細かい……。



店員さんはかなり困惑顔で頭を下げている。



「だいたい常識だろ!どんな教育受けてんだよ!」



仁の怒りは治まる様子もなく逆にどんどん加速する。



うわ~関わりたくない。



時計を見るとそろそろ電車が来る時間だ。



どっどうしよ~。



今出なきゃ間に合わないよぉ。



けど、気付かれたらヤダしな……。



あぁ~、でも遅刻したらバカらしいっ!



寄り道しなきゃよかったよ。



大体、なんであいつがこの時間にここにいるわけ!?



そんな事を考えてる間に、店長らしき人が出て来て店員と二人で仁に頭を下げ始めた。



なんかえらい大事になってるしっ。



はっ!でも今だ!



この隙に私はゆっくりコンビニを出た。



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