キミのとなり。
『HAPPY BIRTHDAY!下手くそだけど約束通り作ってみました。よかったら食え!        “仁”』


それは仁からのメッセージカードだった。


ゆっくり箱を開けると、中には手づくり感たっぷりのバースデーケーキが入っていた。


涙でよく見えない……。


イチゴが無造作に何個も置かれている。


クリームだってぐちゃぐちゃ。


「……ふっ、下手くそだなぁ。」


こんなの作る時間なんてないくせに。


大晦日に年越しパーティーをしたあの日――


《じゃー今度作ってよ!バースデーケーキ》


《俺あんたの誕生日知らないし……》


あの時私が話した事、ちゃんと覚えてくれてたんだ。


「なんで……なんでこんな事。」


ずるいよ……。


反則だよ……。


格好つけすぎだよ。


自分の中で押さえ付けていた気持ちが爆発しそうだった。


やっと…


やっと一歩踏み出そうとしたのに。


しばらくケーキを見つめながら考えた。


どんな思いでこれを作ってくれたんだろう。


そう考えたら会いたくて、


会いたくて会いたくて会いたくて…


今すぐ、 会いたくて……。


“ガチャンッ!”


私の足は勝手に走り出したんだ。


大好きな仁を求めて……。


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