キミのとなり。
「どっどういう……っ」


取り乱す私に、更に追い打ちをかけるように佐田さんは話しを続けた。


「夕方に空港へ向かったわ!次、日本へ帰ってくるのは一体いつになるかしらね。」


「……。」


……そんな。


目の前で落胆する私を見て佐田さんはニヤっと微笑む。


無意識にカードを握りしめる手に力が入った。


でもまだ……


まだ、間に合うかもしれない!


そんなわずかな望みを信じて、事務所を飛び出し、タクシーで空港へ急いだ。


きっと空港に向かう途中にケーキを届けてくれたんだ。


あと少し早ければ会えたのに……


どうしていつも


すれ違うの?


焦る気持ちを必死に押さえた。



空港に着くなり、人ごみを擦り抜け必死にあいつの姿を探した。


どこっ


どこ!?


揉みくちゃになりながらも仁の姿を探して走った。


どこなの?


仁……。


ふと、2階に目をやると、あいつが


“いた…”


今にも搭乗口に向かおうとしている。


私は声を張り上げてあいつの名前を呼んだ。

< 152 / 554 >

この作品をシェア

pagetop