キミのとなり。
私は早足でマンションへ帰った。


手にはケンチャンから貰ったカードを握りしめて、ドタドタと足を絡ませながら部屋に入り、クッションにへたれ込む。


“ハァハァハァハァ…”


呼吸が落ち着くのを待つ。


ゆっくり深呼吸……


私の心臓は徐々に冷静さを取り戻す。


どっどうしよう!!


冷静になってやっと事の重大さに気付いた。


っていうか、あいつ……


帰ってたんだ。


どれぐらいぶりだろう。


あの空港で別れてからだから、1年……


でも、それより前からまともに会って話す事がなかったから……。



私は24歳になった。


…って事は25歳だったあいつは26歳になったんだ。


随分大人になったんだろうな。


会いたいかと言えば、


そりゃ会いたい。


だけど…どんな顔して会っていいか分からない自分もいる。


ふと、思い出したかのようにタンスの一番下を開く。


洋服の下に隠してあったソレを取り出した。


実はずっと封印していた仁がクリスマスにくれた《雪の結晶のネックレス》


手に取って眺めていたら、あの光景を思い出した。


あの日は確かクリスマスライブがあって、その帰りに変な連中に絡まれたのをあいつが助けてくれたんだよね。


その帰りに『これやる』って無愛想に差し出したんだ。


部屋に帰って一人舞い上がっていたのを昨日の事みたいに覚えてる。


もうそれより随分と前からたぶん私は、あいつが気になっていた。


もしかしたら出会った時、既にあいつは私の中にいたのかもしれない。


まさかこんな展開になるなんて誰が予想できただろう。

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