キミのとなり。
「うっす!」



目を細めて微笑みかけてくれる弘人にとろけそうになる。



ばっちり決まった凛々しいスーツ姿、弘人の周りだけ違う風が吹いてるみたいだ。



はぁ~…。



同じ溜息でも全然違うわ。



弘人の優しい笑顔で私の中の憂鬱な気分も瞬時に吹っ飛んだ。



「先輩、神田さんの顔見るとコロッと変わっちゃうんだから~。」



冷やかす様に若菜ちゃんが言った。



「えっ、何々?なんかあったの?」



「余計な事言わないの!」



止める私を押しのけて若菜ちゃんは話しを続ける。



「先輩、引越したマンションの隣人に振り回されてるみたいなんですよぉ?」



「えっ隣人?」



弘人は興味深々に若菜ちゃんの話しを聞いている。



「なんか隣りの人も一人暮しみたいで~、しかも若い男なんですよぉ!」



「え…そうなの?」



私に確認する弘人。



「えっいや……まぁ。」



若菜ちゃんしゃべりすぎ!!



「それがまた無愛想な男らしいんですよ。でも、男前なんですよね!先輩!」



「若菜ちゃんっ!」



思わず声がひっくり返った。



「神田さん、気をつけといた方がいいですよぉ~。」



そう言って若菜ちゃんはニンマリした顔で去って行った。



無言で目を合わせる私と弘人。



この空気……



どうしてくれんのよ~!




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