キミのとなり。
その夜は結局出前を取ることになった。



テーブルに着き、やっと夕食にありつけた私達は向かい合い黙々と箸を進める。


そのうち仁がボソッとつぶやく。



「改めて思ったけど、お前ドジだよなー。」



「れっ、冷静にけなすのやめてくれる!?」



「ちょっと関心するわ。」


うんうんと頷きながら食べる仁に、返す言葉もなく更に黙々と食べ続けた。


変な空気を変えようと仁の仕事の話しに話題をふってみた。



「今日はなんの仕事だったの?」



「あぁー今度ドラマに出ることになってな。」



「ふーん、…えぇ!!」



思わず箸を落としてしまった。



「何!ついに俳優デビュー!?」



興奮気味の私とは正反対に落ち着いて話す仁。



「そんな大それたもんじゃねーよ。主人公が好きなバンドのヴォーカルかなんかの役でちょこっと出るだけ。佐田さんが勝手に話し進めてきて……。」



「へっへぇ~でもすごいじゃん!!誰が出るドラマ?」



「柏木……さくら?」



「えぇぇえ!?」



「お前なぁ、一々うるさいよ。」



「だっだだだって…柏木さくらってあのさくらちゃん?」



「どのさくらちゃんだよ。」



思わず身を乗り出した。




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