キミのとなり。
先に食事を済ませた仁は、立ち上がりソファーに座ってテレビを点けた。



はぁ~。せっかく一緒にいれる時間なのに……。いっぱい話したい事だってあったのに……。


そんなことを思いつつ、黙々とシンクで食器を洗い始めると突然背後に気配を感じた。



振り返る暇もなく、いきなり後ろから仁が私を抱きしめた。



「わっ……!」



ガシャンッ……



あまりに突然の事に洗っていたコップを落としてしまった。



「…あっ危ないじゃん!」


仁はそっと私の頭に自分のあごを乗せた。



「お前、バカじゃねぇ?」


「へっ?」



「顔が握りこぶしぐらい小さいとか……」



え……。



「足がカモシカ並に細いとか……」



「そんなんで誰かを好きになったり嫌いになったりするような安い男じゃねぇよ、俺は。」



ドキッ



きっ聞いてたの!?



「その辺の男と一緒にすんなアホ!」



その乱暴で優しい言葉が嬉しくて、 嬉しくて……



私の中の不安な気持ちはいとも簡単に掻き消された。


「うぅ……だってぇ!」



涙目で振り返り勢いよく仁に抱き着いた。



何もかもが大好きで、だからいつも不安で…



そんな自信のない私をいつも勇気づけてくれる。



私には仁しかいない……



ギュッ
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