キミのとなり。

「なんでダメなんだよぉ～！なんで隠さないといけないのぉ～！？」



無意識に口をついて出てくる言葉たち。



私の肩に置いた仁の手に力が入る。



「私はぁ～言いたいのぉ！仁と付き合ってるってぇ～言いたいのぉ。デートもしたい！普通にさぁ～、手繋いで歩きたいのぉ！」



私は散々愚痴をこぼし、また眠りにつく。



その時仁が酔い潰れた私を肩に抱え立ち上がるのがわかった。



そして若菜ちゃんに何やら謝る素振りを見せて店を出た。



しかし、あったはずの私の記憶はこの後綺麗さっぱりはるか彼方へと飛んでいくのである。


「んっんん……。」



アタタタ……。



翌朝、私は激しい頭痛で目を覚ました。



「はぁ～。」



物凄い脱力感が体を襲う。


起き上がり辺りを見渡す。


あれ……ここ自分の家だ。


昨日若菜ちゃんと飲みに行ってぇ、それからどうやって帰ってきたんだっけ。


恐ろしいほど、全く覚えていない。



しかもちゃっかり服も着替えてるし。



あれ？どうしてだ！？



隣りには今朝も仁の姿はない。



激痛の走る頭を抱えながらリビングへ向かう。



そこにも仁の姿はなかった。