キミのとなり。
「なんか……この部屋見てると。」



急に言葉を濁す若菜ちゃん。



「ん?」




すると一瞬私の顔を確認してこう言った。



「こんな事、言っていいかわからないけど。」



珍しく若菜ちゃんが躊躇している。



「えっ何?」


しばらく考えた後、小さくこう言った。



「なんか、さみしい。」



え……



「なんか殺伐としてて、二人が幸せな生活を送ってる様子が見えてこない。」



言葉を失った。



「この部屋はなんかただの“隠れ家”みたい。」



私は今までこの部屋は二人の愛情でいっぱいだと思っていた。



この部屋だけは……



だけど、言われてみればそうだよね。



確かに私と仁が付き合っている、一緒に暮らしている事を示す物は何もない。


「あっすいません、余計なお世話ですよね。」



涙ぐむ私を見て焦ったようにそう言う若菜ちゃん。



「あっどうしよ!ごめんなさっ……」



必死にフォローしようとする若菜ちゃんの背後から誰かの声がした。



『あんたに何がわかんの?』


その声に驚いて二人同時に振り返ると、リビングの入口にもたれて立ち尽くす仁がいた。



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