キミのとなり。
疑惑のワンシーン。。。
ウキウキ気分のまま翌朝を迎えた。



朝っぱらから鳴り響く仁の携帯。



鏡台でメイクをしている私の後ろで、仁はまだ眠そうにベッドから起き上がり、さも面倒くさそうに電話に出る。



「……あぃ、はようございます。はい…、はい。」



事務所からのようだ。



鏡越しに、仁を気にしながらメイクを進める。



仁はしばらくして電話を切った後、大きく溜息をついて背中からベッドに倒れ込んだ。



「ぐああぁ~。」



「何!?どうかした?」



「いや、別になんでも。」


「ふぅん。」



倒れ込んだまま天上を見上げて何か考え込んでいる。


「あっーじゃ私、先に行くね。」



少し様子のおかしい仁を残し、先に部屋を出ようとした。



「あっ、なぁ。」



行こうとする私は、その声に足を止め振り返った。



「ん?」



仁はゆっくり起き上がり、何やら言いたそうな顔。



「あのさぁ」



頭をポリポリ掻きながら落ち着かない。



「何?遅刻しちゃうよ。」


「お前、今日帰り遅い?」



「え?」



「何時に帰んだ?」



「別に。いつも通りだと思うけど……。」



「たまには、あの~頭の悪そうな女と飯でも行ってこいよ。」



「えっこの前行ったとこだし。」



「そうか?でもほら、たまにはゆっくり遊んでくれば?」



「えっ何?今日も遅いの?」


「俺も遅いと思うし……いっつも家に一人もつまんねぇだろ?」



どうもしどろもどろの仁の態度が妙に引っ掛かる。



「んっまぁ、適当に遊んで帰るよ。」



「おぅ。」




そう言って私は家を出た。



なんだろう。



今までそんなこと気にかけてくれたことなんてなかったのに。




変な奴……。

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