キミのとなり。
そうこうしている間にエレベーターはロビーに着き、ドアが開いた。


「あっ、もしかして俺の事心配してついてきたん?」


「……。」


「何、もしかして“気になる存在”ぐらいにはなってる?」


「ちがっ!…うよ。」


振り上げた手を下げた。


桜井君はまたフゥーと溜め息をついて会社を出た。


慌ててその後ろに走り寄る。


手に持った鞄をけだるそうに肩に担いで先を歩く。


小走りで必死についていく。


その内、桜井君は益々足を早める。


それでも息を切らしながらついていく。


自分でも何やってんだかわかんない。


何故かこのまま行かせちゃいけない、そんな気がした。


でも……どこまで行くんだっ!


10分ぐらいそんな状態が続いた時だった。


桜井君は急に振り返りもせず人気の少ない脇道に入り込んだ。


見失わないように慌てて駆け出す。


角を曲がった瞬間、桜井君の背中が目の前に現れた。


「びっびっくりしたぁ!」


ただ何も言わず立ち止まっている。


ふと、ある事に気付いた。


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