キミのとなり。
オフィスに戻ると、正面のデスクに今日もニコニコと笑顔を見せる桜井君がいる。


その笑顔に答えようと必死に作り笑いをしてみせるが、どうも引きつり気味……。


深い溜息を着いて仕事を再開する。


その様子を桜井君は首を傾げて見ていた。


数時間後、デスクの中で携帯がブルブルと鳴りだした。


慌てて引き出しを開け着信を確認。


“新着メール受信”


なんだ……メールか。


部長に隠れながら携帯を開きメールを見てみる。


あっ、晶子からだ。


《久しぶり~!元気!?晃からグアムの事聞いたよ!私たちまでいいのかな??でも、千秋達と会うのも久々だし超楽しみ!また連絡するね。》


久しぶりの晶子からのメールで少し落ちてた気分が楽になった。


そうだ、久しぶりに相談にのってもらおうかな。


自宅へ帰るなり、早速晶子に電話をしてみる。



プルップルルルル…プルッガシャ!



『もしもし千秋?』


久しぶりに聞く晶子の声。


「もしもし晶子?久しぶり~。」


『本当、久しぶりだよね!ごめんねーなかなか連絡とれなくって。』


晶子の後ろで子供の泣く声がする。


「あっううん!こっちこそごめん!今忙しかった!?」


『あぁ違うの!いっつもこの時間になるとぐずり出すだけだから気にしないで!』


そう話す晶子はすっかりママだった。


『それより、どした?』


「えっ!?」


『なんか、声に元気がないみたいだけど……。』


びっくりした。
顔も見ていないのに、どうして晶子には何もかもわかっちゃうんだろう……。


まるで話していないのに心の中を見透かされた気分になるよ。


『で、何があった?』


「うん……」


いますぐ会いたくなった。


会って話しを聞いてほしくて、そんなの大丈夫だよって言って欲しくて仕方なかった。


私は今朝あった事を包み隠さず晶子に打ち明けた。


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