キミのとなり。
だけどその日、仁の帰りを緊張しながら待っていたけど結局私が起きている間に帰って来る事はなかった。


次の日――


ほとんど仕事も手につかないまま、終業時刻を向かえ早々と会社を後にする。


今日は早く帰るだろうと予想していた私は、急ぎ足でマンションへ帰った。


マンションの前に着くと見慣れた車が後ろからやってきた。


私は咄嗟に物影に隠れた。


そしてスモークがかった後部座席がガラッと開いたかと思うと、中から険しい顔で頭からパーカーを被った仁が降りて来た。


「また明日、うぃーす。」


仁がそう挨拶を済ませ車から降りると車は去って行った。


足を踏み出してすぐ、仁は物影に潜む“何か”に気付いた。


慌てて姿勢を低くする。


「見えてんだけど。」


ビクッ!


顔を上げるとそこには冷たい目で私を見下す仁が立っていた。


「何やってんの。」


「べっっ別に!!」


冷静を装って素早く立ち上がる。


仁は何か言いたそうに私を見る。


「………。」


「………。」


だけど、目を合わせられない。


「ほら、行くぞ。」



「………。」


仁は頭にパーカーを被ったままポケットに手を入れて先を歩き出す。


「………。」


私は思わずその場にしゃがみ込んだ。


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