キミのとなり。
「あっあぁ……。」
女子社員はそう言って、困り顔の弘人を無理矢理引っ張って連れて行った。
「先輩、あの子要注意ですよ!」
鋭い目付きで若菜ちゃんが言う。
「……えっなんでなんで!?」
「あの子、水原紗枝っていうんですけど有名なんですよ~。」
「有名?」
「“男好き”で……。」
その言葉に思わず絶句した。
「それに噂で聞いたんですけど、次に狙ってるのは神田さんだって!」
まっ…
まさか。
「弘人に限って……大丈夫だよぉ。ハハハッ。」
余裕ぶってはみたものの、内心かなり動揺していた。
“ガチャンッ!”
手に持ったスプーンを床に落としてしまった。
「……先輩。」
私は彼女なんだから!!
あんな子に負けるはずがないっ、と……
自信を持てない自分が情けなかった。
その話しを聞いて以来、私は常に会社で弘人に近寄ってくる女子社員をチェックするようになった。
だけど、やっぱり若菜ちゃんが言う通り特に弘人とよく一緒にいるのはあの水原紗枝という女子社員だった。
ある夜、勇気を出して電話で弘人に聞いてみた。
するとこんな答えが返ってきた。
《そんなのただの噂だろ、放っておけよ!》
そんな言葉を聞きたかったんじゃないんだ。
“気にしなくていいよ”
“俺にはお前だけだ”って……
いつもみたいに優しく声をかけて欲しかった。
私の不安の塊は、益々大きさを増してしまった。
女子社員はそう言って、困り顔の弘人を無理矢理引っ張って連れて行った。
「先輩、あの子要注意ですよ!」
鋭い目付きで若菜ちゃんが言う。
「……えっなんでなんで!?」
「あの子、水原紗枝っていうんですけど有名なんですよ~。」
「有名?」
「“男好き”で……。」
その言葉に思わず絶句した。
「それに噂で聞いたんですけど、次に狙ってるのは神田さんだって!」
まっ…
まさか。
「弘人に限って……大丈夫だよぉ。ハハハッ。」
余裕ぶってはみたものの、内心かなり動揺していた。
“ガチャンッ!”
手に持ったスプーンを床に落としてしまった。
「……先輩。」
私は彼女なんだから!!
あんな子に負けるはずがないっ、と……
自信を持てない自分が情けなかった。
その話しを聞いて以来、私は常に会社で弘人に近寄ってくる女子社員をチェックするようになった。
だけど、やっぱり若菜ちゃんが言う通り特に弘人とよく一緒にいるのはあの水原紗枝という女子社員だった。
ある夜、勇気を出して電話で弘人に聞いてみた。
するとこんな答えが返ってきた。
《そんなのただの噂だろ、放っておけよ!》
そんな言葉を聞きたかったんじゃないんだ。
“気にしなくていいよ”
“俺にはお前だけだ”って……
いつもみたいに優しく声をかけて欲しかった。
私の不安の塊は、益々大きさを増してしまった。