キミのとなり。
数時間後・・・


「づがれだぁ~!」


はしゃぎ疲れて浜辺のパラソルの下に倒れ込む。


「体力ねぇなー。」


背後から仁がそう言って私の真横に腰掛けた。


「びっ…くりしたぁ!」


仁は遠い目で海を見ていた。


「たまにはいいな、海も。」


そう言って、頭の後ろに手を組んで後ろに倒れ込んだ。


「もう泳がないの?」


「ちょっと休憩。」


「そう。」


私もつられて、仁の横に寝そべる。


眺めているだけで身も心も癒してくれる……そんな吸い込まれそうに青い空だった。


目を閉じると海辺ではしゃぐ晃たちの声がする。


「……幸せそうだね。」


私がそう呟いた。


仁は「あぁ。」とだけ答えてまた目を閉じた。


「いいなぁ…羨ましい。」


「……。」


しばらくの沈黙の後、仁は私にある質問をした。



「欲しいか?子供。」


「へっ!?」


びっくりして思わず声が裏返った。


私は閉じていた瞳を見開いて隣にいる仁を見た。


仁はまだ目を閉じたまま更に質問を続けた。


「いつかは産みたいと思う?」


鼓動が高鳴った。
仁とこういう話しをするのは初めてだったからだ。


私はゴクっと唾をわざと飲み落ち着いた口調で話した。


「そりゃー、女だしね!いつかは……。」



それを聞いた仁はゆっくり態勢を起こし、海辺ではしゃぐ晃達を見ていた。


私もそれに続くように態勢を起こし仁の横に座る。


「……。」


「……。」


私たちの視線の先で楽しそうにはしゃぐ晃たち。


私は何も話さない仁が気になってしかたなかった。



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