キミのとなり。
息が落ち着く暇もないまま店頭の週刊誌を手に取り、パラパラとページをめくる。


あるページで手が止まった。


うそっ……


なんで……



【マイクロシティ“ジン”熱愛発覚!お相手は人気女優の“柏木さくら”】



そこにはそう、書かれていた。


恐る恐る、記事に目を通す。


【深夜の車内で親密ムード!ドラマ共演がきっかけか!?】


次のページには二人が車の中で密会しているモノクロの写真が掲載されていた。


そんなっ……


うそだ……


幸せそうに仁に笑いかけているさくら。


更に写真の下には、こんな文章が書かれていた。


“二人はこの後闇夜に消えて行った……”


放心状態のままコンビニを後にした。


私……また裏切られたの?


仁……、嘘でしょ…!?


マンションへ向かうはずの私の足は無意識にゆっくりになる。


頭の中が真っ白だよ。


考えがまとまらないまま近くの公園のベンチに腰掛けた。


時刻は8時過ぎ。


もう仁、帰ってるかな。



携帯持ってないんじゃ連絡もできないよね。


心配……してるかな。



きっと仁も、週刊誌の事はもう知ってるんだろうな。



私はただそこに腰掛けて、考え込んでいた。


しばらくして、我に帰りもう一度時刻を確認するともう10時をまわっていた。


帰りたくない。


どんな顔して会える?


冷静になれるとは思えない。


だけど……


「おいっ!!」



えっ……


その声に一瞬ビクッとなり振り返ると、仁が息を切らせて立っていた。


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