キミのとなり。
慌てて走ってきたせいか髪が乱れている。


「おい!探したんだぞ!こんなとこで何やって……」


ゆっくり近寄る仁の足が一瞬止まる。



目を真っ赤にして泣いている私を驚いた顔で見ている。


「千秋……」


慌てて顔を背けた。


「やっぱり。そんな事だろうと思った。あれだろ?週刊誌見たんだろ。」


驚いた。


仁は自ら話しを切り出した。


ゆっくり私の横に腰掛けこう続けた。


「まさか信じてんじゃねーだろうな。」


「……。」



「いちいち惑わされんなよ!面倒くせーなぁ。」



またいつものように頭をぐしゃぐしゃと掻きながらそう話した。



「……惑わ…される?」



「あ?」



「写真まで撮られておいてよくそんなことっ……」



「だから……一緒にいたのは事実だけどあれはっ」



「さくらの家に泊まったんでしょ。」



「……。」


仁は見たことがないぐらい怖い顔で私を見た。


「今、なんつった?」



「あの朝帰りした日、本当はさくらといたくせに!」


「だからそれは途中であいつが来てただ話し聞いてただけで、」



「前はテレビ局の関係者の相談にのってたって言ってたじゃん!」



「それはお前がいちいち余計な心配するとややこしいと思ったからっ」


「で、その後でさくらの家に行って一晩過ごしたんだ!」


「………っはぁ!?」


「全部知ってるよ!」


「おまっ、いい加減にしねぇとっ……」



「仁、携帯見つかった?」


「……。」


「さくらの家に忘れてるって。グアムで仁の携帯に電話したら、彼女が出て、そう言ってた。」



「……何?」



「また……やられちゃったなぁ……私、男運なさ過ぎ。」


泣いてるくせに必死に作り笑いをして強がった。



「バカかお前!そんなもん真に受けてんじゃねーよ!」


私は立ち上がった。


「口ではなんとでも言えるよね。」


< 288 / 554 >

この作品をシェア

pagetop