キミのとなり。
「帰ってきませんねーお隣りさん……。」



夕方になっても帰らない隣人。



待ち疲れたように退屈そうな声で話す若菜ちゃん。



「そのうち帰るよ。さっ、御飯たべよ!」



二人でタコ焼きを食べる事にした。



「先輩、いっつもこんな質素な料理食べてるんですかぁ?」



「……しっ質素で悪かったわね!」



「ダメですよぉー女は中から綺麗にならなきゃ!食べものは大事ですよ。」



辛口の若菜ちゃんにタジタジの先輩、……私。



けど、なんだかんだ言いながら食べてるし。



“カリカリカリ…”



その時、何やらベランダの方から何かを引っ掻くような音がした。



「……なんか音しません?」


顔を見合わせる私と若菜ちゃん。


「すっ…するねぇ。」



“カリカリカリ…”



うわっ…まただ!



二人同時にカーテンで閉ざされたベランダの窓に目をやる。



「だっ誰かいるんじゃないですか?」



「だっ誰かって……ここ、3階だしっ。」



若菜ちゃんはゆっくり私の背後に回る。



そしてぐいぐいと私の背中を押してくる。



「先輩の家なんだから先輩が見てくださいよ~。」



「えぇぇえ!?」



なっなんて無責任な奴だ!



若菜ちゃんに押されながら、恐る恐るカーテンに手を伸ばした。


ごくっ…



せーの!



“バッ…”



ぎゅっと閉じた目を徐々に開けると……







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