キミのとなり。
「ヤッ!」


咄嗟に桜井君の肩を押し退けていた。



「……。」



「あっ…ごめっ」



ふっと苦笑いを浮かべる彼は、なんだか少し寂しそうな表情で立ち上がった。



「ったく。敵わへんなぁ、ジンには。」



そう言って、また冷蔵庫からビールを持ってきてテーブルに置いた。



「朝まで付き合うから……全部吐き出してしまえ!」


またニッと笑う彼。


ごめんね、私こんなとこまで上がり込んで……また期待させるような事しちゃってるよね。



私……ずるいね。



だけど。


自分勝手だけど、一人でいると深い海の底からもう二度と浮かび上がってこれないような気がして。


誰かに手を引っ張っていて欲しくて、掬い上げて欲しくて……。


今、横に桜井君がいてくれてよかった。


ありがとう。


翌朝――


ジャラララ~…ジャラララ…



どこかで私の携帯が鳴っている。


「んっ……んん~…」


重いまぶたをなんとかこじ開け手探りで携帯を探す。


伸ばした手に携帯が当たった。


「もしもし……」


“ガチャッ”


その瞬間、電話は切れた。


なんだよ。


「ふぁぁあ~……」


グググッと伸びをした。


“ズキッ”


「痛たたっ……」


ずっしりと重い頭がズキズキと痛む。


ヤバイ……。二日酔いだ。


その内、やっと開きかかった目で辺りを見渡す。


ん……!?


見慣れない風景……


どこ?ココ……。


昨日は確か……


途切れた記憶を必死に辿った。

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