キミのとなり。
「……はい。」



「あなたはどう思う?」



「えっ……。」



「ここまで積み上げて来たものを、こんな形で手放してしまうのは仁にとってもあなたにとっても本望ではないわよね?」



「……それは、」



すると次の瞬間、佐田さんはいきなり私に頭を下げた。


「この通りだから……、仁と別れてもらえませんか?」


えっ……



「さっ佐田さん!止めろよ!」


仁が立ち上がり佐田さんに頭を上げるように言った。


「俺、ちゃんと仕事するから。だからこいつには…」


「誰が信じるの!?そんな事。現に今日だってこの子がいなくなっただけで大事なリハーサルにも行かないなんて……。」



「だからそれは……」



「あなたはまた同じ事をするわよ!この子に何かある度に仕事そっちのけでこの子の元へ走って行くわ。」


「……。」



仁……



「あなたが背負ってるものはそんな軽いものじゃないでしょ!?仕事を二の次にするような事があっては困るって言ってるのよ!」



「……すいませんでした。」


仁は佐田さんに頭を下げて謝った。



佐田さんは再び私に目を向ける。


今まで見た中で1番冷たい目だった。



「あなたわからない?あなたが仁の未来を“邪魔”してるのよ?」



ズキッ



「違う!こいつに責任はないんだって!」


仁は必死に私をかばってくれた。



「責任が……ない?本当にそう?」


また睨み付けるような目で私を見る。




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