キミのとなり。
仁のいない未来
部屋に戻って、荷物をまとめよう。
自分でも怖いくらい冷静にそう思った。
玄関の前に立ち、鞄の内ポケットから合鍵を取り出す。
この鍵も……
もう、使うこともないんだよね。
“チャリンッ”
ぎゅっと握りしめて中へ入った。
《ミャー!》
すると、いつものようにタマが私の足元にかけ寄ってくる。
嬉しそうに尻尾をくねらせるタマが可愛くて、思わず抱き上げた。
「タマ~ただいま。」
相当寂しかったのか、何度も私の頬を舐めるタマ。
「ごめんね、今日は遊んでやれないんだ……、荷物を取りにきたんだよ。」
ゆっくりタマを床に下ろし、リビングに向かった。
いつも仁と二人で過ごした空間がそこにある。
キッチン……。
あのキッチンでよく料理本片手に、毎日奮闘したな。
ブルーのタイルが表面に敷き詰められた真っ白い食卓……。
あの食卓でタマと二人でよく溜息付きながら食事をした。
たまに、仁と一緒に食べられた時は嬉しかったな。
食器洗浄機に並んで伏せられたままの赤と青のふたつのカップ……。
確か同棲して真っ先に揃えたのがこれだった。
歯ブラシとマグカップはどうしても色違いでお揃いにしたいと思って買って帰ったら、面倒臭そうに首を傾げた仁。
でも、決まってコーヒーを飲むときはこれだったね。
そしてこのソファー……。
ここでいっぱい泣いたり怒ったり、喧嘩もした。
キスもいっぱいしたよね。
あの真っ白な皮のソファーは、実はお気に入りの場所でもあったんだ。
本当にこの部屋にはたくさんの仁との思い出が詰まってる。
若菜ちゃんには隠れ家だって言われた事もあったけど、住んでいて心地が悪いと思った事は一度もなかった。
最高に幸せな空間だった。
寂しい思いも楽しかった思いもここに立つと昨日の事のように蘇ってくるよ。
自分でも怖いくらい冷静にそう思った。
玄関の前に立ち、鞄の内ポケットから合鍵を取り出す。
この鍵も……
もう、使うこともないんだよね。
“チャリンッ”
ぎゅっと握りしめて中へ入った。
《ミャー!》
すると、いつものようにタマが私の足元にかけ寄ってくる。
嬉しそうに尻尾をくねらせるタマが可愛くて、思わず抱き上げた。
「タマ~ただいま。」
相当寂しかったのか、何度も私の頬を舐めるタマ。
「ごめんね、今日は遊んでやれないんだ……、荷物を取りにきたんだよ。」
ゆっくりタマを床に下ろし、リビングに向かった。
いつも仁と二人で過ごした空間がそこにある。
キッチン……。
あのキッチンでよく料理本片手に、毎日奮闘したな。
ブルーのタイルが表面に敷き詰められた真っ白い食卓……。
あの食卓でタマと二人でよく溜息付きながら食事をした。
たまに、仁と一緒に食べられた時は嬉しかったな。
食器洗浄機に並んで伏せられたままの赤と青のふたつのカップ……。
確か同棲して真っ先に揃えたのがこれだった。
歯ブラシとマグカップはどうしても色違いでお揃いにしたいと思って買って帰ったら、面倒臭そうに首を傾げた仁。
でも、決まってコーヒーを飲むときはこれだったね。
そしてこのソファー……。
ここでいっぱい泣いたり怒ったり、喧嘩もした。
キスもいっぱいしたよね。
あの真っ白な皮のソファーは、実はお気に入りの場所でもあったんだ。
本当にこの部屋にはたくさんの仁との思い出が詰まってる。
若菜ちゃんには隠れ家だって言われた事もあったけど、住んでいて心地が悪いと思った事は一度もなかった。
最高に幸せな空間だった。
寂しい思いも楽しかった思いもここに立つと昨日の事のように蘇ってくるよ。