キミのとなり。
KODOKU・・・
決心したはずの思いが今更グラグラと揺れ動いた。



夕方になり、晶子はキッチンで夕食を作り始める。



私はリビングで睦月ちゃんの遊び相手になっていた。


カウンター越しに晶子が私を心配そうに見ているのがわかった。



さっき言われた事がずっと私の頭の中を駆け巡っている。



《自分がそばにいる事で仁さんの仕事がうまくいかなくなったら嫌だから……だから離れた。…私にはそう聞こえる。》



確かに、そうなのかもしれない。



佐田さんに杭を刺され、恐くなっただけなのかも……


本当は仁のいない未来を生き抜いていく自信なんて、少しもないくせに。



「千秋も食べてくでしょ？」


「えっ？」



エプロン姿の晶子がそう言った。



「あっ、私はいいよ！悪いし…」



「もう作っちゃったから、一緒に食べよ！」



晶子のさりげない優しさがうれしかった。



「……うん。」



「おねぇちゃんも、いっちょに食べる？」



睦月ちゃんは目をキラキラさせて私の袖を引っ張る。


「うん、じゃー一緒に食べよっか。」



「やったー！」



無邪気にはしゃぐ睦月ちゃん。



自分の感情に素直な彼女をうらやましく思った。



私はどこに忘れてきたんだろう……。



そういう気持ち。


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