キミのとなり。

8時少し回った頃、玄関のドアが開く音がした。



「はぁ～っ、くったくただぁ～。」



そう言いながら乱れたスーツ姿の晃がリビングに入ってきた。



「パパ～！」



私と遊んでいた睦月ちゃんが晃に走り寄る。



「おーただいまぁ！今日もむっちゃんはきゃわいいなぁ！」



さっきまでの疲れはどこへやら、満面の笑みで睦月ちゃんを抱き上げる。



そして睦月ちゃんにキスをしようとした時、晃と目が合った。



「……ん！？」


驚いた顔で私を見ている。


「ちっ千秋！おまっ……なんでいんの！？」



「お邪魔してまぁす。」



「一緒に御飯でもどうかと思って私が呼んだのよ。」


晶子が夕食を運び出しながら晃に言った。



さりげなくフォローを忘れない晶子。



感謝しっぱなしだ。



「ふぅん、まぁゆっくりしていけよ。」



晃は何故かちょっと得意げに私に背を向け部屋着に着替えにリビングを出た。



「あっ手伝うよ！」



なんだかただ座ってるだけでは申し訳ないので、お皿を運ぶのを手伝った。



お皿には出来立ての美味しそうな料理が湯気を立てて並んでいる。



晶子は料理も得意で、まさに良妻賢母。



カレーひとつろくに作れない自分が情けない。