キミのとなり。
「さっ桜井君…」



桜井くんと会うのはおとつい家に泊まって以来だ。



そのせいで、なんだか妙に緊張した。



そんな私とは反対にいつも通り平然な彼…



「あぁ、先輩!はようございますっ、……てか、こんな時間に出勤って珍しいやん。」



「うん…ちょっと寝過ごした。」


私と桜井くんのやり取りを横目に見ていた若菜ちゃんが口を挟んだ。



「先輩、誰ですか?このイケメン!!」



でっでた!



若菜ちゃんのイケメンアンテナは今日も健在のようだ。


私の左脇辺りをグイグイと突きながら目を輝かせている。



「あっこちら同じ部署の、桜井君。」



「どうも~」



桜井くんは軽くペコッと頭を下げた。



「で、えーこっちが前同じ部署で働いてて、今は食堂で頑張ってる若菜ちゃん。」



「安西若菜です!よろしくぅ。」



ぶりっ子満載であいさつする若菜ちゃん。



「えっなんで今食堂なん?」


桜井くんのごくごく当たり前な疑問に一瞬顔を引きつらせた。



「まぁー色々とね!」


すかさず慣れないフォローを入れる私。



そのうちふと、若菜ちゃんがある事に気付く。



「あれ?さっきからなんか変だと思ってたら関西弁だ~!」



「俺、大阪出身やねん。」


「あっそうなんだぁ!」



何故か年上の若菜ちゃんにため口で話す桜井くん。



まるで、合コンで初めて会ったようなノリ。



なんの躊躇もなく受け答する若菜ちゃんも若菜ちゃんだ。



なんか引っ掛からないか?


初対面だよ!?



そんなこんなしてる内、エレベーターは階に着き若菜ちゃんに手を振り私と桜井君は一緒に降りた。
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