キミのとなり。
“チャララン…”



席に着いてすぐ、メールを受信――



“From:桜井”



 ………



ギロッと正面を睨み付けつつ受信画面を開く。



“昨日は居てくれなくて残念でした。仁と仲直りしたんやな。よかったな。俺的には残念やけど…なんてな!”



 ………。


桜井くんは正面で、優しい笑顔を浮かべている。



“ズキッ……”



違う。



違うんだ。



私……私達は……。



“カチカチ…”



震える指でキーボードを打つ。



“ごめんね。私達、別れたんだ。”



送信――



受信されたメールを見て、驚いた顔で私を見る桜井くん。



いいんだ……。



そんな同情の目で見ないで。



私が自分で決めた事だから。


胸を張るって決めたんだ。


まだうまく笑えないけど、精一杯背伸びして笑顔を作った。



ついでにピースサインも付け加えた。



“ガタンッ!”



えっ…



突然桜井くんが立ち上がり、どこかへ向かう。



えっなっ何!?



ぐるっと並べられたデスクの周りを回り、反対側の私の座る席のところまでやってくると、険しい形相で私を見下ろしている。



え…?



「どっどしっ…」



“ガッ”



桜井くんは目をパチパチさせている私の腕をいきなり掴むと、ぐいっと引っ張り上げて連れて行こうとする。



「わぁっえ…?ちょっ…」


周りの社員と部長は呆気に取られてその光景を見ていた。



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