キミのとなり。
「……とっとにかく!俺は先輩が好きやねん。」



「へっ……!」



あまりにいきなりの告白。



「出会った時からその気持ちは変わってへんしっ…ってか、逆に強くなった!」



何気に桜井君に好きだと言われたのは、これが始めてだということに気付いた。



なんでか、その言葉が何度も頭を駆け巡った。



「でっでも、先輩別れたとこやし!別に今すぐっていう事じゃなくて……、気持ちの整理ついてからで全然いいしっ。」



正面の席で珍しく顔を赤めソワソワと落ち着かない様子でそう言う。



「……だっだから、一応俺の事も視野?…に入れておいて欲しい……と、思って。」


「……ふふっ」



思わず吹き出した。


「えっ……なっ何!?」



涙が自然と止まっていた。



「……ふふふっ。」



「えっ…俺なんか変な事言った!?」



口に手を添えたまま顔を横に振った。



「…じゃっじゃー何?今、結構真剣に話しててんで?」



「ごめっ……ふふ。」



桜井君はわけがわからずまた頭をポリポリと掻いた。


「だって、しどろもどろなんて全然“柄”じゃないんだもん……。」



「えっ……。」



目を合わせて笑い合った。



「うぅうるさいなぁ!」



また顔が赤くなる。



桜井君は側にあったスプーンを乱暴に手に取ると、慌てたようにコーンスープをすくって飲み始めた。



ガチャガチャとまるで子供みたいに音を立てて食べている彼を見ていて、不思議と癒されている自分に気付いた。



とても…



とっても複雑な心境だった。

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