キミのとなり。
私の目に飛び込んで来たのは、さっき見た夜景より数百倍光り輝いている街の夜景だった。



まるで、宝石箱をひっくり返したみたいにキラキラ赤や青や黄色や緑に光っている。



「うわぁーすごい!!」



《凄いやろ!?この前見つけて絶対先輩に見せたくって。》



「へぇ~こんなとこあったんだねぇ。超感動!」



桜井君はキラキラ目を輝かせる私を隣で嬉しそうに見ていた。



静かな夜の夜景……



真夏の夜の涼しい風が二人の間を擦り抜ける。



「なぁ…」



突然、桜井君が沈黙を破った。



「ん?」



風に揺られ少し乱れた髪を押さえながら、横にいる彼を振り返った。



その瞬間――



「隙あり…」



彼はそう小さく呟いた後、ゆっくり私に顔を近づけた。


 ……


 ……



えっ…



えっ…えぇぇえ!



私はジャングルジムの頂上で桜井君にキスされた。



「きゃ…!!」



“ドンッ!”



余りに突然の事に驚いて思わず桜井君を押し退けた。


「うっうわぁ~~!!」



バランスを崩し、下に落ちそうになっている桜井君。


「あっ…危ない!!」



その腕を咄嗟に掴んでいた。


< 362 / 554 >

この作品をシェア

pagetop