キミのとなり。
「セーフ……。」



はぁ~…焦った。



「…って、ちょっと!!」


桜井君はベッと舌を出し、器用に下へ降りていく。



私も慌ててそれに続いて下に降りた。



「なっ何すんのよ!!」



「夜のドライブ、夜景、ときたら“キス”でしょ普通~。」



そう言って悪びれた素ぶりもなく腰履きのデニムのポケットに両手を突っ込んで丸太に飛び乗る。



「さっ 最悪…!そんな軽い奴だと思わなかった!女の子と二人でドライブして夜景見たらキスすんの!?ほんっと有り得ないしっ!」



プイッとそっぽを向く私の真横に、いきなり丸太の上からジャンプしてきた。



「……。」



横から彼は私のむくれた顔を覗き込む。



「……なぁにむくれてんねん!そんなんするわけないやんか!」



「したじゃん今!!」



「それは先輩やからやろ!」


“ドキンッ…”



なっなんか……



今の感じじゃ、私がヤキモチ妬いてるみたいじゃない。



思わず顔が真っ赤になる。


「俺、好きな子としかキスもエッチもせーへんで。」


「は……はっ!?きっ聞いてないしっ。」



恥ずかしさの余り、足を進める。



そこには、腰ぐらいの高さまでのコンクリートの塀があり、そこから下を見下ろすとまた目の前にキラキラと色を変えて輝く街の夜景が広がっていた。



思わず目を奪われていた時――


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