キミのとなり。
――昼休み



真夏の太陽が照り付ける蒸し暑い屋上のベンチで、煙草をふかす弘人の後ろ姿を見つけた。



私は食堂で調達したアイスキャンディーを両手に持ちながら背後からそっと近づく。



「差し入れ~!」 




そう言って冷たいアイスで弘人の頬を挟んだ。




「冷てっ。」



弘人は豆鉄砲でもくらったみたいな顔で後ろを振り返る。



「へへー!びっくりした?はいっ、これ若菜ちゃんからもらったの!」



アイスキャンディーを弘人に差し出しながら隣に腰掛けた。



「おぉーサンキュー。」



「ふぅー毎日暑いね~。」


少し汗ばむ額にアイスを当てがう。



「元気……そうだな。」



弘人がボソッと言った



「えっ?」



「いやっ……ちょっと安心した。」



その複雑そうな顔を見て、すぐ仁とのことを言っているんだとわかった。



「ん~もうっ、しんみりしないでよ!!」



バシッと弘人の膝を平手打ちした。




「イテッ!……だってよぉ、」



「私は大丈夫だって!もう25だし、いつまでも過去の恋にしがみついてらんないよぉ!」



強がってみた。



弘人は益々複雑な表情になる…



「過去……か。」



私が言った言葉を繰り返す弘人……



胸が痛かった。



まだ受け入れられていない自分がいるのは紛れも無い事実だった。



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