キミのとなり。
「はいっ、いい席取れたでぇー。」



「ありがとう!」



差し出されたチケットを笑顔で受け取った。



「ほな、行こっか。」



桜井君の後に続くように劇場へ足を踏み入れる。



真っ暗な中、大きなスクリーンを目の前に並んで腰かけた。



「めっちゃ久々やわ~映画なんて。」



「私も。」



最後に見たのは確か高校生の時だったな。



そういえば、仁とは一度も……



ハッ!ダメダメ!



邪念を払うように頭を横に振った。



初めて見た映画の話しで盛り上がっていると、上映時間になり、更に明かりが落とされた。



“この映画にはグロテスクな表現が含まれます。”



あっ……



恐いの苦手なのに…なんで私ホラーなんて見たいって言ったんだろう…



案の定、その映画の内容は目を覆いたくなるようなシーンが次々に出て来た。


桜井君は横で楽しそうにポップコーンを頬張っている。



たまに怖がる私を見て、バカにしたように指差しながら口を空けて笑う仕種を見せた。



いかん、かんっぜんになめられてる・・・。


本当にどっちが年上なんだか……。

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