キミのとなり。
映画が終わって劇場を出ると、桜井君はググッと伸びをするとこう言った。



「次は~えっと~買い物やな!」



「うんっ!」



甘えよう。



必死に引っ張っろうとしてくれている彼に素直に甘えよう。



「ん!」



「え?」



桜井君は私に手を差し出した。



「あ……。」



「手ぇ、繋ご!」



桜井君は躊躇する様子もなく私にそう言った。



答えに困って俯いているとバッと私の手をとって歩き出した。



少し強引に力強く私の手を奪う。



まだ、心に迷いがある事を見透かされているみたいだった。



だけど、その手は驚くほど温かくて、



驚くほど頼もしくて……



見上げた横顔は、逞しく前だけを見ていた。



私は繋いだ手を小さく握り返した。



桜井君は一瞬歩く速度を落とし、私をに目をやる。



私はそれに優しく笑い返した。



その時、ふと思ったんだ。



この人を本気で好きになりたいと……。

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