キミのとなり。
レジでお金を払う彼を見ていて思った。



私の中から仁という大きな存在を消すことは、たやすい事ではない……



それは、誰よりもそばにいる桜井君が一番感じている事なんだって。



それと同時にすごく辛い思いをさせてしまっているんだって……。



「はい!」



綺麗にラッピングされた袋を私に差し出した。



「ラッピングなんて…よかったのに。」



「一応、プレゼントやから!」



……桜井君。



「ありがとう。」



「うん。……あっそろそろ向かおっか!」



携帯の時刻を確認した桜井君が歩きだす。



「え?どこ?」



「“お洒落なレストランで食事”やろ?」



そう言ってニッとはにかんだ。



桜井君の優しさが胸一杯に広がった。



「うん、行こっ!」



車に乗り込み走り出す。



“ギュッ”



突然桜井君が助手席の私の手を握る。



「ちょっ…危ないよ!」



「大丈夫やって!」



座席の上に足を片方乗せ、片手で私の手を握りもうひとつの手でハンドルを握る。



やること全部が21歳、



危なっかしくてヒヤヒヤさせられるけど…



なんだかすごく新鮮だった。



こんなにも誰かに追い掛けられている感じも



悪くない……。



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