キミのとなり。
“ボーッ…”



静かな部屋にガスコンロの音だけが響く。



なんか緊張してきた…。



「あっなんか、テレビでもつけよっか!」



慌ててソファーの前にあるテーブルの上のリモコンに手を伸ばしテレビを付けた。



“パチッ”



桜井君が私を目で追っているのがわかって、私の緊張は最高潮に達した。



「あっお湯!…沸いたかなぁ~。」



明らかに不自然に部屋を歩き回る。



キッチンに戻るとやかんのお湯がフツフツと沸騰し始めていた。



桜井君はソファーの上であぐらをかいで、テレビを見ている。



ちらちらっと彼を気にしながらカップにコーヒーを入れた。



「はい。」



私は彼の前にカップをひとつ置くと、無意識に床に座り込んだ。



「おっサンキュー…ってなんでそこやねん!!」



「え?」



「そんなっ明からさまに避けんでも。」



「えっあ…ちがっ。なんとなく……、あっ!いつもここに座るからだよ!」



疑いの目をする桜井君。



たっ確かにソファーがあるのに、わざわざ床に座る奴いないよね。



桜井君はパンパンっと自分の隣を叩いた。



私は一瞬躊躇った後、渋々彼の横に腰掛けた。


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