キミのとなり。
恥ずかしくて、猫舌なのも忘れて熱々のコーヒーをがぶ飲みした。



桜井君はコーヒーを飲み終えると、フゥーッと軽く息を吐き後ろにもたれ掛かる。



ドキッ…



背中で感じる視線…



どっどうしよう。



「なっなんか暑いね~!」


ほてり切った顔を手でパタパタと扇ぎながら、クーラーのリモコンに手を伸ばした時、桜井君がいきなり後ろから両手を私の腰に回した。



えっ……



ガシッと桜井君に後ろから捕まえられ、身動きができない。



「どっどうし…たの!?」


硬直したままそう言った。


桜井君は私の背中にぴったり自分の体をくっつけた。


“ドキッ…”



背中から感じる彼の体温…


すごくドキドキしているのがわかった。



桜井君は全身で愛を伝えてくれる。



今まで自分が夢中になる事が多くて、あまり知らなかった感覚。



私の頭のすぐ横に桜井君の顔がある。



「めっちゃ好きやで。」



え……



「ほんま、今までこんな気持ちになった事ないねん。」



そう優しい声で囁きながら私の頭に頬を擦り寄せた。


なんにも言えない。



それどころか、罪悪感さえ感じている。



本当にこんなんでいいのかな。



そんなことを考えていた時、桜井君の手が私の腰から離れた。



ん?



振り返ると、今度は正面から優しく抱きしめられた。


「さっ桜井君…?」



10秒ほど抱きしめられた後、急に彼は体を離した。



すると次の瞬間――



ニッと白い歯を見せて笑ったかと思うと私の視界は斜めになった。



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