キミのとなり。
私には弱みがある。



女としての……。



弘人とそういう関係になっていないという事は、私の弱み。


もしあの水原って子が弘人を誘惑してきたら、弘人は受け入れてしまうんじゃないか……



裏切られてしまうんじゃないか……


そういう不安が胸を締め付けている。



部屋の明かりを点けた時、またベランダで猫の鳴き声がした。


《ミャア…》


カーテンを開けてみると、隣りの猫がまた私の部屋のベランダに忍び込んでいた。


「お前また逃げ出したの?ご主人様はお留守?」



私は窓を開けて、胸に子猫を抱き寄せた。


小さく震えるその子猫がまるで自分のように思えた。


ミルクを平たいお皿に移し、子猫の前に差し出す。


“ペロペロ…”


よほどお腹が減っていたのか息付く間もなくミルクを舐めている。


「……大きくなったね。」


あいつ、見掛けによらずちゃんと世話してるんだな……


まぁ、ベランダの鍵はしょっちゅう掛け忘れるみたいだけど。


そんな仁は今日も帰りが遅い。


しばらく帰りを待っていたけど、知らない内にウトウトと眠り込んでしまった。

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